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パリからポルトガルのリスボンまで、途中、スペインのマドリッドを経由して、夜行列車で往復する旅の途中で立ち寄った世界遺産の町トレド。

マドリッドのチャマルティン駅から列車で1時間半のところにあるトレドを観光するには、朝10時14分発の列車に乗れば、夕方5時半ぐらいには、マドリッドにもどることが出来る一種の日帰りツアーになっている感があるこの時間帯を使うのがベストだろう。今は、路線工事のため途中代行バスに乗り換えることになっている。
タホ川の断崖のうえに建つトレドは、街全体がまるでお城の様な佇まいをなしている。ギリシャ人画家エル・グレコが移り住み、生涯を送った街としても有名である。そして、世界遺産にも登録された街である。歴史や文化からも、いつも表舞台に登場してきた街だ。6世紀には、ゲルマン民族のキリスト教徒西ゴート王国がここを首都に定め、その後、イスラム教徒が西ゴート王国に攻め入り、400年に渡り支配が続く。しかしながら、その社会は、イスラム教徒・キリスト教徒・ユダヤ教徒などが共存しあってきた。そして、ヨーロッパやアラブの文化や芸術の交流が華やかな街並みを演出してくれる。
東の玄関口アルカンタラ橋は、濃い霧に覆われていた。そこからは、街全体の様子をかいまみることができず、仕方なしにタホ川を渡り坂道をのぼると、ソコドベール広場に着いた。ここは、観光案内所・ホテル・郵便局・電話局・レストランなどがあり、観光の起点になっている。カテドラル・サンロマン教会などいくつもの教会があるが徒歩圏内でまわることができる。私は乗らなかったが、珍しい乗り物がある。スペインの観光地では、珍しくないみたいだが、列車型のミニバス「ソコトレン」である。白い車体と蒸気機関車の形をしたボディーがトレドの古い街並みにほどよくとけ込んでいる。
そこから先は、いくつもの道に別れ、道脇には、ブティックやみやげ物屋・カフェが並んでいる。地元の人々は、活気にあふれ、スペイン人らしく陽気な振る舞いで私たちに接してくれた。アコーディオンやフルートなどを奏でる人もいた。
昼近くには、濃い霧もはれ、暖かい日差しが狭い石畳の道に差し込んできた。私は、どうしても街全体がみたく、この時を待っていた。アルカンタラ橋ちかくのカスティーリョ・デ・サン・セルバンドというユースホステルからのトレドの街を見たかったのである。このホテルは、古城風にたてられプールもあるという、トレドでは、とても人気のホテルのひとつである。橋を渡りホテルの庭へ、ベンチがいくつもあり展望台になっている感じである。写真を撮っている人、絵を描いている人が何人かいる。私もアングルを決めるのに夢中になってしまうほどすばらしい眺めだった。頂にそびえ立つアルカサスが目の前にそびえ立ち、旧市街からはずれたタベーラ大司教の命でたてられたタベーラ病院も新市街の白い建物がルネッサンス様式にとてもよくマッチし、ビサグラ新門を境に左半分が黒い街並み、右半分が白い街並みとはっきりと分かれているのが不思議な光景だ。
赤崎 新一 (2004年12月)